物理の休符

物理に関するあれこれ

テイラー展開

テイラー展…

(帰る)


ちょっと!!!

せめてタイトルくらい聞いていこう!!

(どうせ難しいんでしょ)


そうでもない!そうでもないから!

(高校の知識でわかる?)


わかるわかる!!

(じゃあちょっとだけ聞いてあげる)


やったぁ!!!

ということで今回はテイラー展開です













テイラー展開って何のためにするか知ってる?

(しらなーい)


実は近似の式なのですよ

(ふーん)


興味が無さすぎる!!

(だって近似なんてしないし)


いやいや、物理でもよくやるよ?

有名なのは光の干渉の計算

(あぁーやったことあるようなないような)


たとえば、

「(1+0.01)^100」って大体いくつ?

(「^」ってなに)


あぁ、これは「^100」が100乗を表すんだね

(ちょっとまって…電卓だすから)


ってなったとき!

実は手計算でもおおまかな値がわかっちゃうんです!

(2.704813829421526…)


そこ!電卓で計算しない!














今回使うのは…

"二項定理"です!!

(聞いたことあるようなないような…

やっぱりないか)


諦めないで!!

ある!!聞いたことある!!

(なんか「x+y」をn乗するやつ)


そう!展開公式のひとつです!

これを使ってテイラー展開をしてみよう!!

(で、テイラー展開って何なの?)


ある関数の値がわかっているとき、その近くでの関数形を多項式近似すること

(                 )


…………あれ??

帰らないで!ごめん!!!

わかりやすく説明するから!!

(ジト目)


あなたは山の中で迷子になりました

日も暮れ、あたりは真っ暗

かろうじて足元の傾斜は見えるけど周りの様子は皆目見当がつかない状態です

そんなとき、あなたにテイラー展開の能力が不意に目覚めると、足元の地面の様子だけで山の全体像が把握できてしまうのです!!!

(何を言っているんだ)


まぁ、簡単に言ってしまえば

"どんな関数でも多項式関数にできる"

ってことなんだわ

(それはすごいわ)


でしょ?













さて、二項定理を使ってさっきの

「(1+0.01)^100」

を展開してみましょう

(めんどくさいなぁ…)


いくつかの項だけでいいよ

(さいしょは1だよね)


そうだね

(次が「100C1×1^99×0.01^1」で…)


いま思ったけどこれめっちゃ読みづらいな

(んーと…あ、これも1やわ)


足したら2だね

(まだやるの?)


ここまででも正しい解「2.704813829421526…」に結構近づいてきてるね

(ん…そうかな…?)


もう1項だけやってみようか

(「100C2×1^98×0.01^2」だから…)


ふむふむ

(あれ…?「0.495」?突然小数に…)


おっけー!

足すものがどんどん小さくならないと2.7に近づかないからね

(あ、そうかも)


これで「2.495」とだいぶ近づいてきました

もし次をやると「0.1617」が出てきて「2.6567」

さらにもう1項進めると「0.03921225」が出てきて「2.69591225」

(手計算じゃ無理)


でも正しい解が得られそうなのはわかるでしょ?

(けどさーこれって関数なの?)


そう、いいところに気がついたね!

(言い方がむかつく)


いまのは関数の"値"でした

次は関数そのものを近似していきます

(つらい)













さっきの「(1+0.01)^100」は「(1+x)^100」に「x=0.01」を代入したものでした

(え、そうなの??)


実はそういう意図があったんです

(ふーん)


そこでこんどは「x」のまま展開してみましょう

(代入せずに?)


そうです

(うわぁ…めんどくさ……くもないか)


うん

さっきと同じ二項定理だからね

(何なら数字計算しなくていいから楽かも)


答えでた?

(ちょっと待って!えーと頭は「1」でいいし…次は「100x」で…次はめんどくさいなぁ…んーと「4950x^2」かな)


そうそう

そんな感じで展開できるね

結果としては

「(1+x)^100=1+100x+4950x^2+161700x^3+…」と続きます

(ふーん……あれ?これ多項式になってる…?)


そう!その通り!!多項式関数に近似出来ました!

(まぁもっと序盤に気づいてたけどね)


気づいてたんかい!

(話を盛り上げるための演出)


ありがとうございます……












(けどさー…「(1+x)^n」タイプのやつが展開できるのはわかったけど普通の関数は近似できなくない?)


そうだね

(嘘つき!!)


いまのは"関数が多項式で近似できる"っていうのを実感してほしくてやってもらったのでテイラー展開ではありません

(おい)


では早速テイラー展開に取り掛かりましょう!

(いままでのは何だったの…)













「e^x」をテイラー展開します!

(やだ。やりたくない。)


できたとしましょう!

「e^x=a+bx+cx^2+dx^3+…」

です!!

(大胆すぎかよ)


仮定だからいいの!

じゃあまずaを決めてみて!

(……え?あたしがやるの?)


そうだよ?

(説明ヲ求ム)


えーーー

何でもすぐ聞くのは良くないぞ

(にしてもやろ)


じゃあヒント!

xに数字を代入します!

(なにをやねん)


それを考えてみて

(えぇー…………うーーーー…………………………)


どう?わかった??

(はっ……!ごめん考えてなかった!)


考えてよ!

(ぼーっとしてた)


ほら

数字に関するヒントがないってことは簡単な数字ってことでしょ??

(0, 1, -1あたりかな)


でしょ???

(じゃあ一番楽な0を入れて…と)


(あ、でたやん)


答えは?

(a=1!)


その「!」は階乗の「!」かな

それとも驚きの「!」かな

(しょーもないこと言ってないでさっさと進めろ)


正解!

じゃあ次!bを求めて!

(無理!)


いい返事!

……いやぁ…ちょっとは考えてよ

(そもそも私はテイラー展開なんかどうでもいいのにどうしても教えたいっていうから聞いてあげてるんだよ?それなのにそんなに言うならもう帰るよ?)


……ごめん悪かったよ……

(わかればよろしい)


「e^x=a+bx^n+…」からaを消したかったらどうするか

(連立方程式で1文字消去?)


それもあるけど

もっとサクッと定数を消せる演算

(わかんないなー)


数Ⅱで習うよ

(んー??なに??)


微分でした!!

(んー??)


や、だから、両辺を微分するんだってば

(なんの?)


「e^x=a+bx^n…」の!

(ふむふむ)


してみて!

(しょーがないなー)


(「e^x=b+2cx+…」かな)


いいね

bをだすには?

(代入)


正解

(「b=1」だね)


ということは

「e^x≒1+x」

ってことだね

(うそやん)


ほんとだよーー

試しにグラフを描いてみようか

(…………いや、全然ちゃうやん)


そんなことないさ

x軸付近をみてみて

(まぁ、ここは近いけどそれが何?)


これが"近似"だよ

(は?)


いや、だからx=0の近くでは割と"いい線いってる"よね

(いい加減だなぁ)


もっと近づけるためには展開をさらに進めればいいね

(もう1回微分すると「e^x=2c+6dx+…」だから「c=1/2」)


つまり

「e^x≒1+x+1/2x^2」

となるわけ

さっきは1次関数で近似してたけど今度は2次関数で近似することになる

(グラフもちょっとましになった)


この調子で進めると

「e^x=1+x+1/2x^2+1/6x^3+1/24x^4+…」

とできます

(まぁ…そうかもね)


微分するだけならどんなに難しい関数でもできるからテイラー展開はあらゆる関数に使えるわけだね

(あ、いまのがテイラー展開なの?)


何だと思って聞いてたの…………












今日のまとめです

テイラー展開とは"あらゆる関数を多項式関数で近似すること"

その方法は"多項式で近似できると仮定"して"両辺を微分"すること

なんだね

(燃え尽きたよ……)